歯根端切除術

歯根端切除術とは

歯根端切除術とは、歯の根の先を切除する外科処置です。根管治療を行っても改善の傾向がみられない場合に行うケースがあります。
歯の根の先の病変を除去することで、根管治療を行っても改善しなかった症状の改善が期待できます。

歯根端切除術が必要になるケース

  • 根管治療を行ったが腫れや痛みが改善しない
  • 根管から膿の排出が止まらなくて根管治療ができない
  • 嚢胞が大きくて根管からのアプローチでは除去が難しい
  • 根管の湾曲や閉鎖によって治療器具が先端まで入らず、根管治療ができない
  • 根管内の土台を除去できない、または歯根亀裂や穿孔のリスクがある
  • 歯根吸収や根管の破壊などがあり、適切な根管治療ができない
  • 根管の穿孔がある
  • 根管の横道、側枝がある
  • 感染源を除去できず改善が期待できない
  • 根管充填材が根管外に漏れて感染しており、根管治療では除去できない
  • 根管充填に問題がないにもかかわらず症状が改善しない
  • 再根管治療では改善が期待できない
  • 歯根の先に感染物質があり感染源となっている

歯根端切除術の成功率を高めます

従来では、歯根端切除術の成功率は20~60%程度でした。現代では、視野を拡大できるマイクロスコープやそのほか優れた器具や歯科材料の登場により、治療の成功率は90~95%程度まで高まっています。
当院でも、高確率で歯根端切除術が成功するように、各種器具・歯科材料を導入しております。

歯根端切除術の治療法について

・まず麻酔をかけ、歯茎を切開した後、骨に3〜4mmほどの小さな穴を開けます。
・マイクロスコープを使用し、歯根先端を約3mmほど切除し、マイクロミラーで切断面をチェックし、感染部分を確認します。
・超音波チップで、切断面の根管に穴を形成し、清掃をします。
・その後逆根管充填という方法で、根管部分にMTA(バイオセラミックス)を充填し、細菌の繁殖を完全に封鎖します。

歯根端切除術の流れ

1診察・検査

問診や口腔内のチェック、症状の確認、レントゲン検査などを行い、歯根端切除術の適応となるかどうかを診断します。病巣がある部位を確認のうえで治療の適応を判断しますが、場合によっては根管治療や再植術、抜歯などを行います。
治療方針が決まりましたら、具体的な治療内容や経過、リスクなどを詳しくご説明し、同意を得たうえで手術日を決定します。

2治療

局所麻酔下で、嚢胞の摘出と歯の根の先の切除、逆根管充填を行います。治療時間は約1時間~1時間30分程度です。
その後、症状の確認や洗浄、約7日後に抜糸を行います。

3経過観察

術後は、2ヶ月・6ヶ月・1年後・2年後にご来院いただき、症状のチェックやレントゲンによる病変の確認をします。再発した場合は術後1ヶ月前後に痛みや腫れ、歯ぐきの白いできものなどが現れることが多く、3~6ヶ月を過ぎても症状がない場合は成功したと考えられます。
完治の診断は術後1年で行いますが、それまでに症状が現れた場合は次回の通院を待たずにご来院ください。

歯根端切除術後の注意点

  • 麻酔が切れるまでは強くうがいをしないでください。
  • 食事は麻酔が切れるまで控えてください。
  • 血行が良くなるような行為を避けてください(飲酒、激しい運動、入浴など)。
  • 麻酔が切れると痛みが生じる可能性があるので、その場合は痛み止めを服用してください。
  • 軽い出血は通常であり、1〜2日で止まることが一般的です。
  • 腫れや発熱が起こることがありますが、ピークは2〜3日でその後は軽減されます。
  • 感染を防ぐため、傷口を舌や指で触らないようにしてください。
  • 縫合された糸は7〜10日後に取り除かれます。
  • 歯磨きの際は傷口の周囲を避け、柔らかめの歯ブラシを使用してください。

歯根端切除術後の予後について

予後に関しては、手術成功率は90%以上で良好です。再発の可能性もありますが、再発の原因は歯根の腐敗や亀裂、破折などがある場合であり、再手術や抜歯が必要となる場合があります。
そのため、手術後の1〜3年間に経過観察のために定期的に来院していただきます。レントゲン写真を撮影し、再発の有無や歯根周辺の正常な骨の再生状況などを確認します。
もし途中で歯ぐきの腫れや痛みなどの症状が現れた場合や、定期検査の予定日に来院できない場合は、予約の上で来院してください。
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