静脈内鎮静法
静脈内鎮静法とは、点滴で催眠鎮静剤を入れて、眠ったような状態へと導く麻酔方法のことです。全身麻酔とは異なり意識はあるため、意志表示や問いかけへの対応などができます。
ぼーっとした状態になることで治療による音やにおいなどの刺激が鈍くなるため、不安や緊張、恐怖などが軽減します。一方、歯科治療で行われることが多い局所麻酔は、注射した部位にのみ麻酔効果が現れるものですが、痛みは軽減できても治療の音やにおいなどによる不安や恐怖を和らげることはできません。
当院で使用する催眠鎮静剤は、身体への負担が少なく安全性が認められておりますのでご安心ください。
メリット
- 治療に対する不安や恐怖を軽減できる
- 治療の痛みを軽減できる
- 治療時間が短くなったように感じる
- 心拍数や血圧が安定する
- 治療中の嘔吐反射を抑えることができる
- 意識があるため意志表示やコミュニケーションが可能
こんな方におすすめ
- 歯科医院に対して恐怖心がある方
- 治療中に気分が悪くなるほどに恐怖が強い方
- 嘔吐反射が強い方
- パニック障害のような精神的な疾患がある方
- 心臓病や高血圧などがある方
当日の注意点
- 車やバイク、自転車での来院はできません
- 飲食に時間制限があります
- 腕まくりしやすい服装、厚手の服は脱げるものを着用してください
流れ
1事前説明
患者さまのお悩みや治療に対するご希望をお伺いし、静脈内鎮静法が適していると判断した場合は、詳しい流れや注意点、リスクなどについてご説明いたします。ご不明点はお気軽にお申し出ください。
2点滴スタート
点滴で催眠鎮静剤を投与します。痛み止めや抗菌薬なども必要に応じて投与し、術中の痛みや腫れを抑えます。
3眠くなる
効果が現れると眠くなり、ぼーっとした状態になります。
4通常の局部麻酔および
治療開始
通常の局所麻酔(注射)を行い、施術部位の痛みを軽減します。静脈内鎮静法を受けている場合、注射による不安や痛みはほとんどありません。心拍数や血圧などをモニタリングし、全身状態を管理しながら治療を行います。
5目が覚める
治療痕は、薬の効果を消失させる薬を点滴しますので、ぼーっとした状態から通常の状態に戻ります。休憩後、足下のふらつきがないことが確認できましたらご帰宅いただけます。
全身麻酔
全身麻酔とは、脳を含めた全身にかける麻酔のことです。意識が消失するため、恐怖や不安を感じずに歯科治療を受けることができます。患者さまの自発呼吸が止まるため、気管にチューブを入れて呼吸管理をする必要があります。
全身麻酔がおすすめの方
- 静脈内鎮静法では覚醒してしまう方
- 身体を動かすことが多い、激しい方
- 長時間の麻酔の必要性が認められた方
- 歯科に対する恐怖心が強い方
合併症について
- 一時的な喉の痛みやかすれ声
- 非常にまれに歯が欠ける、抜けることがある
- 肺炎
合併症の種類やリスクは患者さまの状態に応じて異なります。術前の診察で十分に話をお伺いし、検査結果を踏まえて全身麻酔を行えるかどうかを判断いたします。麻酔は、全身麻酔や局所麻酔を問わず、絶対に安全と言い切れるものではありません。
当院では、安全第一に麻酔を使用し、日々研鑽を積んで知識や技術の向上に務めておりますので、ご不明点がございましたらお気軽にご相談ください。
注意点
- 麻酔開始前は一定時間において飲食が禁止となります
- 術後感染率が上がる観点から、全身麻酔を行うことが決まった時点で禁煙を開始いただきます
流れ
1術前診察・ご説明
患者さまのお身体の状態や病歴、治療内容などを踏まえて安全性が高い麻酔法を選択いたします。ご不明点はお気軽にお申し出ください。
2麻酔を始めます
点滴で麻酔薬を投与するとともに酸素マスクを装着いただきます。
3気管にチューブを
挿入します
酸素の通り道を確保するために、柔らかいチューブやシリコン製の小さいマスクを口の中に入れていただきます。すでに患者さまは眠られていますので、苦痛は一切ありません。弱い歯や抜けそうになっている歯があると、ごくまれに歯が欠けたり抜けたりすることがあるため、事前にお知らせください。
4手術開始
手術中は患者さまの状態や進捗を見ながら、最適な麻酔状態を維持できるように対応いたします。
5手術終了
手術が終了しましたら麻酔薬の投与を停止します。目が覚めるまでの時間は、患者さまの状態や手術内容などで異なります。
6病室に戻る
病室に戻ってからも、完全に目が覚めるまでには時間がかかります。眠気が続いたり手足をなんとなく動かしたりしてしまうことがありますが心配はありません。